東芝 ER-60BE5(K) ひと癖ある日々の相棒


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レビュー概要

東芝 ER-60BE5(K)を自宅の狭いキッチンに迎え入れてから、最初に試したのは、夜更けに少量のナッツを香り出しする作業でした。フライパンよりも焦げにくく、温度の乗り方が穏やか。少し驚いた。小分けで作るグラノーラも、油分のにおいを過度に立てず、軽い食感に仕上がる。オーブンの余熱を短く切り上げても破綻しないのが自分の生活リズムに合う。次にやったのは、自家製のヨーグルトの発酵補助。設定温度の下限と庫内の癖を掴むまで何度か失敗したけれど、容器の置き方と時間を調整すれば、分離せずにまとまる。こういう試行錯誤に付き合ってくれる器用さが、日常の端っこを少し楽にする。

パン生地の予備発酵も、小ボウル一つなら庫内のムラを気にせず回せた。加えて、柑橘の皮を薄くスライスして低温で乾かすと、香りが飛びにくい。ほんの少しのハーブやスパイスを扱うとき、過剰に熱が入らないのが助かる。もちろん万能ではない。広い天板を使う大物は向かないし、段取りが悪いと庫内の水分管理で失敗する。でも、少量を丁寧に仕上げたい夜や、作業を細切れに進めたい日には、無理せず寄り添ってくれる感じがある。使い込むほど、癖と強みが立体的に見えてくる機種だと思う。

ざっくり言うと、23Lのワイド&フラット庫内と最大1000Wのレンジ出力、角皿式スチームとシンプルなオーブン機能を備えた、「背伸びしすぎない石窯系スチームオーブンレンジ」。人数で言えば一人暮らし〜2人暮らしくらいまでがちょうどよく、毎日ガッツリ料理する人というよりは、「温めとちょっとした調理を丁寧にしたい人」に方向性が合っている一台だと感じています。

特徴・スペックと選んだ理由

東芝 ER-60BE5(K) を選んだ理由は、単純に「温めるだけ」では物足りなくなったからです。これまで使っていた古い電子レンジは、冷凍食品を解凍する時にムラが多く、中心だけ半分凍ったままということが頻繁にありました。特に夜遅くに作り置きの料理を温め直すとき、均一に仕上がらないのがストレスだった。そこで、オーブン機能も備えたモデルに切り替えることで、調理の幅を広げつつ、日常的な温めの精度を改善したいと考えたのが購入のきっかけです。

実際のスペック面で見ると、ER-60BE5(K)は23Lのワイド&フラット庫内を備えたスチームオーブンレンジで、最高出力は1000W(短時間高出力)・通常は600W/500W/200W相当/100W相当の切り替えに対応。オーブンは100〜250℃まで設定でき、角皿にお湯を張ってスチームを発生させる「角皿式スチーム」方式を採用しています。庫内がフラットなので大皿の出し入れがしやすく、天面のターンテーブルを気にしなくていいのは想像以上に気楽です。サイズ感としては幅約46.8cm・奥行約38.4cm・高さ約33.8cmで、一般的な賃貸のキッチンボードなら無理なく収まるクラス。重さは約15kgで、男性一人なら「ちょっとよいしょが必要だけど、持ち上がらないほどではない」レベルです。

外観は落ち着いたブラックで、家電然とした主張が強すぎず、キッチンの隅に置いても浮かないのが好印象でした。開封して設置する流れもスムーズで、扉の開閉はソフトダンパー付きらしく、ハンドルから手を離しても「バタン」と閉まらず、すっと静かに収まります。初めて扉を閉めたとき、「あ、これは毎日触っていてもストレスにならなそうだな」と素直に感じました。

操作面では、温度センサーを使った自動あたためや「カラッと」系の揚げ物あたためキーなど、日常で出番の多い機能が前面に出ている構成です。ボタンの数は多すぎず少なすぎずで、表示はシンプルなバックライト液晶。正直、初日は「このボタン何だっけ?」と迷う場面もありましたが、2〜3日も使うと手が勝手に動くようになりました。ノンフライ調理やスチーム調理なども、専用メニューから呼び出せるので、取扱説明書を一度ざっと眺めておくと後々ラクです。

スペックが体験にどう影響したかという点では、最大出力の強さが冷凍ご飯の温めに直結していると感じました。以前の機種では一度取り出して混ぜる必要があったが、このモデルでは一度の加熱でほぼ均一に仕上がる。これは単なる数値上の性能ではなく、日常の手間を減らす実感として大きいです。また、オーブン機能を使ってパンを温め直したとき、外側がカリッと仕上がりつつ中はふんわり残るというバランスが良かった。これは庫内の熱の回り方が安定しているからだろうと感じます。さらに、30〜45℃の発酵温度帯を使ってパン生地やヨーグルトの発酵を補助できるのは、地味ながら「あると嬉しい」ポイントでした。

全体として、ER-60BE5(K) は「ただ温める」以上の体験を提供してくれます。購入前に期待していた課題解決、つまり解凍や温めのムラを減らすことは確かに達成されているし、オーブン・スチーム機能によって料理の幅も広がりました。開封から設置までの印象はシンプルで扱いやすく、実際の使用ではスペックが生活の細部に影響を与えていることを実感できます。癖もありますが、それを含めて「この機種ならではのリズム」として受け入れられる。毎日の中で自然に馴染み、使うたびに「選んでよかった」と思わせてくれる存在です。

使用感レビュー

購入してからちょうど三週間ほど使ってみて、最初に感じたのは「思ったより静かだな」という点でした。レンジのドアを閉めたときの感触も軽すぎず重すぎず、カチッとした安心感があって、質感に関しては予想以上に好印象でした。ただ、最初の数回は操作ボタンの配置に少し戸惑い、慣れるまでに時間がかかったのも事実です。特に急いでいるときに押し間違えてしまい、余計な時間を取られることがありました。

日常の中で役立った場面として印象的だったのは、夜遅くに作り置きしたスープを温め直したときです。静音性が高いので、家族が寝ている時間帯でも気を遣わずに使えました。音が控えめだからこそ、深夜のキッチンでひとりで過ごす時間が落ち着いたものになり、機械に振り回される感じがありませんでした。また、休日の昼下がりにパンを軽く温めたとき、表面がふんわりと仕上がり、期待以上の仕上がりに少し驚きました。

購入前は「とりあえず温められればいい」と思っていたのですが、実際に使ってみると操作性や安定感が生活の質に直結することを実感しました。ボタンの反応はしっかりしていて、押した感覚が指先に伝わるので安心できます。庫内の安定性も良く、皿を置いたときのガタつきがほとんどなく、取り回しのストレスがありません。こうした細かい部分が積み重なって、毎日の使い勝手を大きく左右しているのだと気づかされました。

個人的に気に入っているのは、少量の常備菜や残り物を温める時の「読みやすさ」です。例えば、冷蔵庫から出したきんぴらや煮物をワンプレートにまとめて乗せても、出力と時間を何度か試せば「この皿ならこの設定でいけるな」という感覚がすぐに掴めました。一度感覚を掴んでしまえば、あとは同じ操作を繰り返すだけでほぼ同じ仕上がりになるので、平日の夜に頭を使わずに温めたい時ほどありがたさを感じます。

一方で、悪い点として挙げるなら、最初に設定を確認する際に説明書を見ないと分かりづらい部分があったことです。直感的に操作できる部分も多いのですが、細かい自動メニューやスチーム系の機能を使いこなすには、一度腰を据えて理解する必要がありました。とはいえ、一度慣れてしまえばスムーズで、今ではほとんど迷うことなく操作できています。

質感については、外装の触り心地がさらっとしていて指紋が目立ちにくいのが良かったです。掃除のときも軽く拭くだけで清潔感が戻り、日常的に使う家電としての扱いやすさを感じます。安定性に関しても、設置してから動作中に本体が揺れることはなく、安心して使えています。静音性は特に気に入っていて、動作音が控えめなのでテレビをつけたままでも邪魔にならず、生活の中に自然に溶け込んでいます。

使用前は「普通のレンジ」としての役割だけを期待していたのですが、実際には料理の時間を落ち着いたものに変えてくれる存在になりました。例えば、夜に温めた飲み物を片手に読書をするとき、機械の音が邪魔をしないので集中できる。そんな小さな違いが積み重なって、生活の満足度が上がっているのを感じます。取り回しも軽快で、設置場所を少し変えるときも苦にならず、掃除の際に動かすのも容易でした。

三週間使ってみて、最初に感じた小さな不満はすでに解消され、今では自然に生活の一部として馴染んでいます。期待していなかった部分での良さが見えてきて、使うたびに「買ってよかった」と思える瞬間があります。特に静音性と安定性は、日常の中でじわじわと効いてくる要素で、使えば使うほどその価値を実感しています。操作性も慣れれば快適で、質感や取り回しの良さも含めて、毎日の生活を支えてくれる存在になっています。

メリット・デメリット

ER-60BE5(K)のメリット

  • 23Lワイド&フラット庫内で、大きめのプレートや角皿料理も出し入れしやすい。
  • 最大1000Wの高出力レンジで、冷凍ご飯や作り置きのおかずを素早く温められる。
  • 角皿式スチーム対応で、蒸し野菜やヘルシー調理、パンの温め直しなどに使い回しが利く。
  • ソフトダンパー付きの扉で、静かに閉まり深夜帯でも扱いやすい。
  • 自動あたためや「カラッと」あたためなど、よく使うメニューが前面に出ていて操作の手数が少ない。
  • 静音性が高く、テレビ視聴や家族の睡眠を邪魔しにくい。
  • 外装がマット寄りで指紋が目立ちにくく、日々の掃除がラク。
  • 30〜45℃の発酵モードがあり、パン生地やヨーグルトの発酵補助に使える。

気になった点・デメリット

  • 庫内灯がやや控えめで、背の高い容器を入れたときに途中の状態が確認しづらい。
  • オーブン予熱は決して遅くはないが、短時間で済ませたい日には「あと少し早ければ」と感じる場面もある。
  • 出力段階の選択肢は十分ながら、細かくマニュアル調整したい人にはやや物足りないかもしれない。
  • 自動メニューやスチーム系機能を使いこなすには、最初に説明書を一度しっかり読み込む手間が必要。
  • 本体重量は約15kgあり、設置後に頻繁に動かしたい人には少し重く感じる可能性がある。

総評

ER-60BE5(K)を日々の生活に組み込んでみて、まず感じたのは「迷わず使える安心感」。操作の反応が素直で、温め終わりの仕上がりが読める。使うほど、手元の手順が短くなるタイプのレンジです。特に満足したのは、少量の常備菜の温度戻しでムラが出にくい点と、加熱後の余熱が控えめで扱いやすいこと。庫内の拭き掃除がサッと終わるのも日常では効いてきます。

惜しい点は、庫内灯がやや控えめで途中確認がしづらい場面があること、出力切り替えの段階がもうひと押し細かいと嬉しいこと。扉の開閉音も静かめですが、深夜に物音が気になる人は最初だけ様子を見たほうが安心かもしれません。ただ、そのあたりの癖は数日使えば把握できる範囲で、「致命的」というほどではありませんでした。

向いているのは、平日に作り置きを少しずつ温め直す生活、夜の軽いスープや飲み物を短時間で整えたい人、ワンプレートで簡単に済ませる食事が多い人。大きな料理を毎回作るより、必要な分を素早く仕上げたい場面で強い。旅行帰りに冷えたおかずだけ温度を戻す、オンライン会議の合間に温かい飲み物を用意する、雨の日に蒸し野菜を軽く温めて体を戻す――そんな「ありそうで語られにくい」シーンで頼りになります。

長期的には、迷わず同じ操作で同じ結果が返ってくる再現性が効いてきます。買って良かったと思えるのは、使うたびに段取りが短くなり、生活のテンポを崩さないから。凝った機能を探すより、毎日の小さな快適を積み上げたい人には、ちょうどいい。派手さよりも「ちょうどよさ」と「扱いやすさ」を優先したいなら、ER-60BE5(K)は検討する価値のある一台だと感じました。

引用

https://www.toshiba-lifestyle.co.jp

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